福祉用具 > リハビリテーション > 小児麻痺(脳性まひ)のリハビリ
1.脳性麻痺(小児まひ)の概論
2.脳性麻痺(小児まひ)診断・評価
3.脳性麻痺(小児まひ)治療方法・手技
運動療法
・神経発達的アプローチ(Bobath)
@ 随意運動は姿勢反射の発達なしには遂行しえないことから、正常な姿勢反射、姿勢保持に必要な抗重力筋の筋緊張、運動の制御機構を重視する。
A 異常姿勢反応と異常筋緊張を抑制する。
B 小児の扱いやあそびを通じて機能的な運動パターンを獲得させ、食事、整容、更衣などの日常生活動作の自立を促す。
C 乳児期は姿勢保持、手の機能、移動動作、呼吸機能、言語・知的発達は相互に関連するものとして同時に訓練の対象とする。
D 変形や拘縮の発生を予防する。
・Vojta法
@ 正常運動の要素として、直立機構(抗重力機構)、姿勢調節機構(姿勢反射)、相動運動機構(phasicな随意運動)の3つを重視する。
A 運動パターンは全身の筋が協調して作用する協調複合体である。
B 正常運動パターンの誘発刺激で病的パターンを抑制する。
C 反射性運動パターンの基本として反射性匍匐と反射性寝返り運動を重視して、一定のトリガーポイントの触、伸張、圧刺激でこれらを誘発する。
・神経筋反射療法(Fay)
@ 乳児の運動発達過程は系統発生学的に魚類、両生類、爬虫類の運動様式と類似する。
A 同側の上下肢を一緒に動かす同側性の運動は両生類レベルの特徴であり、両上肢を一緒にまた両下肢を一緒に動かす運動は両生類あるいはそれより高いレベルにみられ、左右前後肢の交差性反対運動はさらに高次の運動パターンとなる。
B これらの系統発生学的な運動様式の過程を小児に応用し、同側性腹這い運動、反対側性腹這い運動、四つ這い運動、直立歩行へと訓練を進める。
・感覚運動アプローチ(Rood)
@ 皮膚の摩擦、圧迫、brushing、tapping、icingなどで感覚受容器を刺激し、筋活動の促通と抑制を図る。
A 筋機能は姿勢保持のような重作業に働く場合と、運動や速度に関わる軽作業に働く場合の2型に区分される。
B 筋機能の発達順序を、移動性の発達する時期、安定性が加わる時期、安定性の上に移動性の発達が始まる時期、運動巧緻性が発達する時期の4期に区分し、治療はこの順序に従って進めていく。
C 適切な刺激で筋を促通、活性化、抑制することで小児がうずくまった状態から寝返り、四つ這い、起立、歩行へと進歩するようになる。
・固有受容性神経筋促通(PNF)(Kabat)
@ 固有感覚器の筋紡錘、ゴルジ腱器官は筋・腱が引き伸ばされると興奮し、インパルスが脊髄前角細胞に伝達され、筋収縮を起こさせる。
A 随意運動は単一筋によることはまれで、多くの場合は複数の筋群で遂行される。
また、筋の解剖学的な起始・停止の関係から、四肢の斜め方向ないしは螺旋方向の運動で筋は最も効果的に収縮する。
このことから斜め方向ないし螺旋方向の総合運動パターンを重視して訓練パターンとする。
B 使用される手技は、最大抵抗、筋の伸張、拮抗筋収縮で動筋収縮を促通、関節の牽引・圧縮、リラクゼーションなどがある。
C これらの促通法はすべてのCP児の訓練に適応されるものではなく、描画たによって適切な手技が選択される。
作業療法
CPの治療訓練は、種々の場面で職種を超えたものであることが多い。
理学療法士も作業療法士も、場合によっては保育士も児の扱いには共通の手技を用いる。
とくに作業療法の領域で重要なものに感覚統合療法(SIT)がある。
CPの運動障害は単なる運動発達の遅延のみでなく、筋緊張異常を伴った異常感覚が運動障害をもたらす1要因と考えられる。
触覚、固有感覚、前庭系を経由して身体に入力される感覚情報を円滑に処理できるように制御する。
その他に作業療法士がより関与するものとしてセルフケアの訓練、嚥下訓練などがある。
薬物療法
痙直に対して、ベンゾジアゼピン系薬剤、バクロフェンなどが使用される。
埋込型のポンプによるバクロフェンの髄腔内持続注入も行われている。
装具療法
補装具の使用目的と留意点を表1‐11にあげ、そのために用いられる主な装具を表1‐12に示す。
表1‐11 補装具の使用目的と留意点 6)
表1‐12 脳性麻痺における補装具療法の概要 6)
4.小児麻痺に対するリハビリテーション
5.各発達期の療育
6.脳性麻痺の病型別アプローチ
7.呼吸障害
8.摂食嚥下機能障害
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