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NICUの呼吸理学療法
その目的は肺胞の拡張性の維持や肺胞虚脱の改善、気道内分泌貯留の予防や排痰が主なものとなる。
<新生児・乳幼児の解剖、生理学、呼吸機能の特徴>
新生児・乳幼児の特徴を理解した上で理学療法は行われなければならない。呼吸機能としては、新生児は呼吸窮迫や気道閉塞を起こしやすく未熟児でその頻度が上がる。新生児・未熟児は呼吸予備力に乏しく、気管内分泌物・炎症・浮腫により狭搾が生じやすい。
生理学・解剖学的特徴は表にまとめる。
<評価>
呼吸窮迫の重症度の評価としてはSilbermanのrectraction scoreがよく用いられる。
Silberman’s rectraction score
呼吸窮迫の症状としてチアノーゼ・多呼吸・陥没呼吸・呻吟・鼻翼呼吸・無呼吸などが挙げられる。
新生児のVital signの正常値は
①心拍数:120~140回/分
②呼吸数:40回/分で不規則
③血圧:収縮期80±16、拡張期40±16mmHg
④体温:36~37℃
⑤動脈血ガス:時間の経過とともに表で示す。
動脈血ガスの正常値
その他、成人と評価法は変わらないが、理学所見やX線所見を参考にする。呼吸音は頭部をできるだけ中間位とすると聴きやすい。
<呼吸管理>
新生児には時間サイクル式で従圧式のIMVモードを用いることが一般的である。また、抜管後に無気肺の発生を予防することが大切である。無気肺は右上葉、右下葉の順に起こりやすい。
<体位排痰法>
原則は成人と同様である。乳幼児では一定の体位を持続したり指示通りに行動させることが出来ないが、膝の上や抱えることで簡単に目的の体位を取れる。動いて固定が困難なときはタオルやシーツで全身を包むと容易に固定できる。おもちゃなどで気をひきながら頭低位をとることや、大きな声を出したり泣く・笑うということが咳の代用にもなる。
方法としては排痰体位・軽打法・振動法・バッグによる加圧・吸引があげられる。適応疾患は呼吸窮迫症候群(RDS)・胎便吸引症候群・肺炎・胸腹部手術後などである。禁忌としては、不安定な全身状態・36.3℃以下の重症低体温・胸腔ドレーンの挿入されていない緊張性気胸・気道内分泌物に鮮血が認められる肺出血などである。
排痰体位は成人と同じ体位である。トレンデレンブルグ体位は修正した10~20°で十分であり、不安定な全身状態・胸腹部手術後24時間以内・大量のミルクを嘔吐したとき・頭蓋内出血後48時間以内・頭蓋内圧亢進。横隔膜ヘルニアである。
軽打法はフェイスマスクを利用したり、手指(第2~4指)でカップを作る、母子球か小指球で叩くcontact heel法、指尖腹部で叩くfinger tip法がある。呼気吸気に関係なく40回/分の速さで行い、胸壁に対して垂直方向に胸壁が12cm変位する程度の強さで行う。横隔膜ヘルニアや気胸のときは避け、対側の胸膜を手で保護したり毛布・タオルで覆ってから軽打する。
振動法は左右の第2・3指を重ねて振動を加えるcross finger法、母子球や小指球で振動させるhand heel法がある。電動バイブレーターを胸郭にあて2指で圧迫する方法では10Hz前後の周波数が効果的である。
軽打法・振動法は排痰する肺区域に2、3分加え1回の治療に3区域まで行える。もっとも障害された区域から行う。
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