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      筋ジストロフィーのリハビリについて



 Duchenne型(デュシェンヌ型)筋ジストロフィー(DMD)



(1)概論

<疫学>
 Duchenne型筋ジストロフィー(以下DMD)はX連鎖劣性遺伝をとり、新生児3000〜4000人に1人の頻度で発症する。1/3は保因者でない母親から突然変異により発症する。正常女性から患児が生まれる確率は、およそ15000人に1人程度となる。有病率は2.5〜3人/10万人である。

<原因>
 X染色体上のXp21に存在する遺伝子(ジストロフィン遺伝子)の異常によって発病するX連鎖性劣性遺伝(伴性劣性遺伝)形式であり、男子に発症する。女子はその異常遺伝子をもっていても保因者となり発病しないが、きわめてまれに女子でも発症する場合がある。
 正常なジストロフィンは、筋細胞内の中心部位に位置し、筋収縮に重要な役割を果たすアクチンと筋細胞の膜貫通部に存在するタンパク複合体を物理的に架橋する。筋肉構造の維持に深くかかわる巨大なタンパクである(図4)。
 ジストロフィンの発現にかかわるジストロフィン遺伝子の異常(わが国では、欠失が50〜60%、重複が4〜5%、残りは点突然変異)により、ジストロフィンの機能不全が起こる。このジストロフィンの機能不全は、カルシウムイオンの筋細胞内への流出を招き、次の段階で筋線維が融解する。その結果、筋線維が壊死を起こし脂肪組織や結合組織に置換される筋変性に陥るものと推定されている。筋の組織所見としては、typeT,U線維の両方が障害される。
             



図4 筋細胞膜,膜貫通蛋白複合体,ジストロフィン,基底膜蛋白の位置関係


<検査所見>
@ 一般生化学的検査
筋線維の変性・壊死を反映して血清CKの中等度〜高度上昇(その他ミオグロビン、アルドラーゼ、AST、ALT、LDHなども上昇)、肝臓と腎臓で産生され血液中を循環するcreatineの筋肉への取り込みが筋萎縮の進行とともに減少し、血清creatineの上昇、尿中creatineの上昇、尿中creatinineの減少をみる。

A 筋電図
筋原生パターン(低振幅、短持続、多相性活動電位、干渉波形成)

B 筋生検
筋線維の変性・壊死、大小不同像(図5)、円形化、中心核の増加、再生筋線維(図6)、間質結合組織増加、脂肪浸潤

C ジストロフィンテスト
抗ジストロフィン抗体を用いて、生検筋の免疫組織科学染色により筋線維の筋膜が全周性に染色されるか(正常)、全く染色されないか(DMD)、とぎれとぎれに染色されるか(BMD)を観察する。また、イムノブロット法により筋組織中のジストロフィンの含量や分子量を測定する。

D DNA解析
血液中の白血球に含まれるDNAを用いて、遺伝子の分析が行われる。



    

図5 筋線維の大小不同、壊死        




図6 再生線維


<治療>
 現在のところ病気の進行を止めたり、筋力を回復させたりするような根本的治療法はみつかっていない。しかし、病気の進行を遅らせるさまざまな試みがなされている。
 これまでの質の高いエビデンスを基に、米国神経学アカデミーと小児神経学会からDMDの副腎皮質ステロイドによる治療ガイドラインが出され、DMDの治療としてプレドニソロン連日0.75mg/kgを投与し、もし12ヶ月間に標準体重の20%以上の体重増加がみられる時は0.5mg/kgに減量し、3〜4ヶ月後になお体重が増加する場合に0.3mg/kgに減量することを推奨している。
 このほかにも対症療法として、リハビリテーション、感染症の早期発見早期治療、心不全対策、呼吸不全対策などが行われる。




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