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                  車いすについて


 いざ車いすが必要になったからといって、なにも考えずにポンと買わないようにしましょう。

 それぞれの体型に合ったもの、またはニーズ(要求)や生活状況に合わせて適合させる必要があります。

ここでは、考えなければいけない以下の点などについてまとめてみました。



・車いすはどう選んだらいいの?

・自分に合った車いすってどんなもの?

・車いすの種類はどういうものがあるの?

・車いすの各部分の名前はどう呼ぶの?

・車いすの各部品の種類はどんなものがあるの?

・折りたたみ式と固定式どっちを選んだらいいの?





(1)車いすの選び方


 合っていない車いすを使うことは、サイズの違う靴を履いて長時間歩くのと同じです。

まずは、車いすの選び方を知りましょう。



1.状況の把握 (いまどんな状況なのか)

 今、何ができて、何ができないのか、 どんな時に車いすを使おうとしているのか、もし今車いすを使っているのなら、何が問題で、どう解決しようと考えているのか、を考えます。



2.方針を立てる (どうしたいのか)

 車いすを使う目的を考えます。

 また、車いすにかけられる費用なども考えていきます。



3.各車いすの長所・短所を明らかにする

 
 車いすごとの長所と短所を明らかにしていきます。



4.種類を決定する

 現在の環境に合っており、現在の問題点をなるべく解決してくれる種類を絞っていきます。
   車いすの種類についてはこちら



5.サイズを決定する

 最後にその人の身体、その人の機能にあったサイズを決定していきます。
 
 また、家の中で使用するのなら、使用する廊下の幅や段差の中で使いやすいかどうかも考えておかなければなりません。



6.実際に使ってみる

 販売店によっては、試乗できたり、試しに使うために貸し出してくれたりするところもあります。
 
 高齢者の場合は、介護保険を利用してレンタルで使うことが多いと思われますので、一度レンタルしてみて実際に使ってみるのがよいと思われます。

 介護保険について



(2)車いすの適合性・サイズの目安


 実際に自分に合った車いすを選ぶためにはどうしたらいいのでしょうか。

 ここでは、車いすを選ぶための5カ条というものを紹介します。


1.車椅子を選ぶための5か条

 その1 : 長い時間座っていても疲れにくい


 その2 : ベッドやトイレへの移乗がスムーズにできる


 その3 : 手や足での走行(駆動)がしやすい


 その4 : 使用者の身体の状況や日常動作に合う


 その5 : 介助者や住まいに合う




 このような5か条をもとにして、選んでいくわけですが、ここで身体に合う車椅子のサイズの一般的な目安を示します。


2.車椅子のサイズの目安


@バックレストの高さ : 座面から肩甲骨の一番下までの高さであり、クッションの使用を考慮すると実際42〜45cm程度となる。

Aアームレストの高さ : 座面からの高さ が肘を直角にしたときの位置より1〜3cm高くする。

Bフットレストの高さ : 床面から膝窩(ひざの裏)までの高さ

Cテーブルなどへのアプローチ : 床面から太ももの一番高い位置までの高さ(膝高)

Dシート幅 : 腰の最大幅の水平距離(腰幅)  が 大転子部(太ももの外側の一番出っぱっている骨の部分)の両側に2〜4cmの余裕を持たせる。

Eシート奥行き : 殿部最後端(お尻の一番後ろ)から膝窩(ひざの裏)までの水平距離 (大腿長)がシート前方に1〜4cmの余裕をもたせる。

Fグランドクリアランス(床からフットレストまでの高さ) : フットレストの下部に最低5cmの余裕を持たせる。


車いすの適合性 車いすの適合性




(3)車いすの種類
自走用標準型車いす

1.自走用標準型車いす


 自走用標準型車いすは、下肢や体幹に障害があったり、高齢で長時間歩いて移動できない人のための移動用補助用具です。


 @アルミやチタンなどの軽量型
 A片麻痺用で左右の車輪の大きさが違い、曲がり動作をしやすくしたもの
 B片手だけでの動作が可能なもの

などがあります。




2.電動車いす電動車いす

 電動車いすは、車輪を電動モーターで駆動する主に屋外を走行する目的の車いすです。


 自走式車いすでは長時間移動できない利用者の移動用具としても利用されています。


 道路交通法上は歩行者とみなされます。運転免許は不要です。







3.介助用標準型車いす介助型車いす

 「介助用標準型車いす」は、移動に必要な操作を介助者が行うことを前提としたもので、JIS規格では、前輪がキャスターで後輪のハンドリムが付いていないものを指します。

 ブレーキの位置は、介助者が使う前提で後輪の後方についているものが大半です。

 介助者の介助動作のしやすさも選択の重要な要素となります。

 力の弱い人でも持ち運びしやすい超軽量車いすで折りたたみは可能なものもあります。







(4)標準型車いすの各部位の名前・名称

 車いすのそれぞれの部分の名称について知っておきましょう。

車椅子(車いす)の構造、名称

 なお、「バックレスト」のことを「バックサポート」、「レッグレスト」のことを「レッグサポート」、「フットレスト」のことを「フットサポート」、「アームレスト」のことを「アームサポート」とも呼びます。





(5)各部品について、その種類

1.フレーム

 車椅子の基本構成部材であり、骨格となる部分です。

 主に「固定式フレーム」「折りたたみ式フレーム」に分かれます。
この違いとそれぞれの長所・短所についてはこちらを参考にしてください。

1)固定式フレーム
2)折りたたみ式フレーム



2.シート

 腰をかける部分です。

折りたたみ可能な車椅子の場合、左右の支柱の間に布のようなものを張り渡した「スリング式シート」を使用していることが多いです。

 シートの材質は、大きく分けて「ビニール製」「ナイロン製」の2種類があります。
「ビニール製」は汚れにくく、「ナイロン製」は耐久性に優れています。

                     
        ビニール製                    ナイロン製



 ただし、「スリング式シート」では中央が垂れ下がり、股関節の位置に問題が生じる可能性があり、なるべく平面を保てるような座席がよいです。


 平坦である「ソリッド式シート」のほうが移動も楽で、横にスライドして移乗する患者さんはこの形式が便利です。

1)スリング式シート
2)ソリッド式シート
3)張り調節式シート



3.バックレスト(バックサポート)

 「バックレスト」は椅子の背もたれ部分です。

座位をとれない人に適する「リクライニング型車いす」では、この部分をさらに伸ばし頭部を支えます。

 このバックレスト(バックサポート)にもシート同様「スリング式」、「ソリッド式」などがあります。


1)スリング式バックサポート
2)ソリッド式バックサポート
3)張り調節式バックサポート



4.アームレスト(アームサポート)

 「アームサポート」は腕を楽な位置に支え保つ目的をもち、ときにはテーブルの置き台にもなります。
 また、立ち上がる際や移動動作時にはつまかる場所となり身体のバランスを助けます。
 「デスクアーム型」「半円形型」など、の形の種類があり、それぞれ取り外しができるものとできないものがあります。


1)標準型アームサポート
2)デスク型アームサポート
3)半円型(スポーツタイプ)アームサポート
4)着脱式アームサポート
5)開き型アームサポート
6)横倒し式アームサポート
7)跳ね上げ式アームサポート
8)押し込み式アームサポート



5.レッグレスト(レッグサポート)

 「レッグレスト」はレッグパイプの途中で下腿部(ひざから下)を載せるための部分です。
取り外せるようにしたり、「スイングアウト」といって横に開いたり、特にリクライニング型の車いすでは段階的に上げられるよう作成されます。


1)標準型(固定式)レッグサポート
2)挙上式(エレベーティング)レッグサポート
3)着脱式レッグサポート



6.フットレスト(フットサポート)・

 「フットレスト」足を載せるところを指し、材質には、ステンレス、プラスチック、布などがあります。
多くは「揺動式フットサポート」で90°上方に跳ね上げることができるものが取り付けられています。
 ここに安定して足を載せていられない場合には「ヒールループ」「アンクルストラップ」などのアクセサリーで下腿、足部の保持をします。
 片麻痺者では、動きやすい側のフットサポートを跳ね上げたまま、足で床を蹴り、手でハンドリムを操作して車いすの推進をします。


1)片側個別型フットサポート(パネル型フットサポート)
2)両側一体型フットサポート



7.ハンドリム

 「ハンドリム」は、使用者が車椅子を動かすために取り付けられた車椅子独特のものです。
 手が汚れることを問題にしなければ駆動輪で間に合いますが通常は取り付けられます。

 操作の力を伝えるためにハンドリムに滑り止め材をコーティーングしたり、ペグやノブといった突起物をつけるなどします。


1)標準型ハンドリム
2)ノブ付きハンドリム
3)片手駆動型ハンドリム



8.ブレーキ

 車いすと他のものとの間の移動(移乗)の際には必ずブレーキでタイヤをしっかりと止めます。

 ブレーキのアクセサリーとして、ブレーキレバーを長くするエクステンションがあります。
これは片麻痺の人がマヒ側のブレーキをかけるような場合、手が届きやすくするものです。
 またブレーキには「レバー式」「タッグル式(タックル式、トグル式)」の二つの形状があります。
「タッグル式」は、押し切っても引き切ってもどちらでもブレーキがかかるので、よく使われています。

1)レバー式(ノッチ式)ブレーキ
2)トグル式ブレーキ(タッグル式ブレーキ、タックル式ブレーキ)



9.車輪(駆動輪)

 移動するとき駆動力を伝える車輪のことです。
 通常、車いすは、椅子に駆動輪とキャスターがとりつけられています。
 駆動輪には直径50〜60 cm(20〜24インチ)のものがとりつけられます。直径が大きいほど、てこの原理で小さい力で動かせます。介助型車いすでは16〜20インチのものが使われます。
 駆動輪を下開きに傾けることで回転しやすくしたり、着脱式にすることで、自動車へ積み込みやすくすることもできます。

 また、キャスタは向きが自由に変えられます。
 キャスタの大きさはJIS規格により直径12.5cm、15cm、18cm、または20cmとなっています。



10.タイヤ

1)ソリッドタイヤ
2)空気入りチューブタイヤ
3)空気入りチューブレスタイヤ



11.ティッピングレバー

 標準型の車いすでは、このレバーを足で下に押し、ハンドルを腕で下に押し傾け、前方を上げて段差などを乗り越えます。



12.車いす補助品(車椅子付属用品)

 場合によって、クッションなどを使うことで姿勢の保持や操作性を良くしていきます。

 このクッションなどの車椅子付属用品も介護保険の対象となっていますので、安価にレンタル使用することができたります。
 
1)車いす用クッション
2)車いす用ボディーサポート
3)車いす用ランバーサポート
4)ヘッドレスト
5)アームレスト
6)転倒防止装置

「転倒防止装置」とは、車いすが後方に転倒しないようにするためのもので、パイプ状のものとパイプの先に小さな車輪の付いたものとがあります。通常はティッピングレバーの先に取り付けます。





(6)固定式か折りたたみ式か



手動式の車いすには大きく分けて「固定フレーム式」「折りたたみフレーム式」とに分けられます。

それぞれの長所、短所についてまとめてみました。



固定フレーム式 折りたたみフレーム式
長所 強度が強い 短所 強度が弱く、ガタが生じやすい
同じ装備の折りたたみ式より軽い 固定フレーム式よりは重い
シートとバックレストの角度が調節できる シートとバックレストの角度が調節できない
スポーツやレジャー活動に向いている スポーツやレジャー活動に向いていない
取り外す部品が少ない 取り外す部品が多い
短所 自動車などに載せにくい 長所 自動車や飛行機に積みこめる
凸凹路面でガタガタ揺れやすい 凸凹路面で四輪が柔軟に接地できる
小さく折りたためないので、収納しにくい 収納しやすい


このように、折りたたみ式車いすは、フレームがたわみやすく、固定式車いすのほうが剛性が大きいという傾向があります。

 このたわみやすさは車いすのすべての車輪を接地しやすくするので、折りたたみ式車いすは、ちょっとした凸凹路面を走行するのに有利となります。

 ただし、たわみが大きくなるとフレームがフニャフニャして力がロスするため、軽く動きません。

 逆に固定式車いすを凸凹路面で使う場合、いずれか1輪が地面から浮いてしまうことが多いのですが、硬い床面を走行するときに加えたエネルギーがフレームのたわみとして逃げずに推進力として伝えられるので、応答性の良い操作感が得られる、というのが利点です。





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