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      ADL(日常生活動作)




     曰常生活活動(動作)の概念・範囲・意義

             ADL: activities of daily living

米国におけるADL概念の発展
第2次世界大戦によりリハビリテーション医学は、戦傷者の機能障害の回復をするための方法を進展させ、同時に生活機能の障害、特に基本的動作能力の障害に取り組まざるを得なかった。

〔ADLの概念〕
日常生活活動とは、基本的移動能力、身辺処理動作能力、コミュニケーション能力、また手の使用による日常行為のすべてを含む動作群である。
日本におけるADLの概念
米国からの輸入

〔上田 敏のADLの重要性〕
リハビリテーションにおいて非常に重要な、中心的概念の1つである。これらの動作は基本的な動作であり、これがあって初めてそのうえに職業上の動作、その他の特殊な動作が可能になるわけである。
リハビリテーションの目標にはいろいろのレベルがあり、そのうちの低いものには“自己の身の回りの世話(セルフケア)ができるもの”があり、高いものには“収入を伴う労働への復帰”があげられる。

ADLの概念
ADLは、1人の人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体的動作群をいう。この動作群は、食事、排泄などの目的をもった各作業(目的動作)に分類され、各作業はさらにその目的を実施するための細目動作に分類される。リハビリテーションの過程や、ゴール決定にあたって、これらの動作は健常者と量的、質的に比較され記録される。


1.ADL評価の対象となる動作能力は,障害のある人間が,一定の環境において発揮しうる残された能力(ability)であり,評価にさいして義肢・装具・生活用具・家庭環境の関与も 考慮されなくてはならない.社会保障等の目的のために生物学的(解剖学的)レベルにお ける障害あるいは,社会的レベルにおける障害となる場合もあるが,これはリハビリテー ション医学における概念としての本来の主旨ではない.
2.ADL評価の対象となる能力は,原則として身体運動機能であり,精神活動や意思交換 能力等が関与する場合もある.身体運動機能障害を伴わない他の独立した障害(精神, 視力,聴力,言語等のみの障害)における日常生活動作あるいは生活機能に関する評  価は別に考慮される必要がある.
3.ADLの範囲は家庭における身のまわりの動作(self care)を意味し,広義のADLと考えられる応用動作(交通機関の利用・家事動作等)は生活関連動作というべきであろう.
4.ADL評価の内容には前職業的あるいは職業的動作能力はふくまないものとする.
5.ADL評価の実施者は動作をリハビリテーション医学的に吟味しうる知識をもつ者であることが望ましい.

能力としてのADL
活動という用語
Weber’s New World Dictionaryによると、
@ the quality or state of being active ; action 行動の質と状態
A energetic action ; liveliness ; alertness 活発な行い・行動
B normal function of the body or mind 体と精神の正常な状態
C an active force 自発的な力
D any specific action or pursuit[ recreational activities] 明確な行動か気晴らし(レクリエーション)

人間の運動行動は、運動(movement)、動作(motion)、行為(act)というレベルに分けられる。

運動: 姿勢(体位と構え)が時間的に連続して変化したもの。
動作: 運動によって行われる広い意味での仕事、課題との関係で行動の分析を行うときの単位となる。
行為(活動): 人間の行動をそれらのもつ意味との関連でとらえるとき、行為という単位となる。

例 機能障害(impairment) 運動…眼球運動
  能力低下(disability) 動作…視線の移動
  社会的不利(handicap) 行為…目で合図する

作業: ある特定の結果を産出するための連続的な心身な活動を指す。(疲労を伴う)
学習と遂行(実行):
ともに練習の成果による行動の変化である。
学習: 生体の内部には生じてはいるが、外から観察することができないような変化をいう。
遂行: 外に現れた直接観察することができる行動の変化(能力×経験「学習」=遂行)をいう。
ADL−Tは遂行の結果(技能)を測定することを意味する。
行動: 生活体の示す内外の刺激に対する反応の総体をいう。多くは外部に現れた観察可能な活動を指すが、意思、思考などの精神活動や無意識の過程を含める場合もある。

生活関連活動(動作)

APDL: activities parallel to daily living
ADLを身の回りの動作という基本動作に限定し、それ以外の応用動作を生活関連動作とした。
生活関連動作のほとんどは従来から女性が分担してきた。すなわち生活関連動作は個人としての生活と社会人としての生活の中間に位置している。すなわち日常生活と社会生活をつなぐ位置と役割を果たしている。

活動項目
標準的なADL活動項目
排尿・排泄自制 continence
飲用 drinking
食事 feeding
移乗 transfers : bed to chair/floor to chair
ベッドから椅子、床から椅子
洗面 washing
整容 grooming
歩行 walking : indoors/outdoors with or without aids
室内、自立または介助による室外
更衣 dressing/undressing
トイレ toileting
階段 climbing stairs
入浴 bathing
お茶の準備(軽食を含む) making a hot drink/snack

生活関連活動項目
外歩き waking outside
道路横断 crossing roads
車の乗降 getting in/out car
交通機関利用 using public transport
茶を運ぶ carring hot drinks
後片付け washing up
洗濯 washing clothes
家事 housework
庭仕事 gardening
金銭管理 managing money
買い物 shopping
外出 going out socially
車運転 driving car
就業 employment
趣味 hobbies
読書 reading
電話使用 using telephone
手紙 writing letters


ADLの分類





QOL
生活の質(Quality of life: QOL)


QOLの構造






客観的QOL
・ 生物レベルQOL:生物レベルにおける苦痛や不都合があるか否か(疼痛、睡眠障害、嚥下障害など生理学的、生物学的なレベルにおける問題が対象。)
・ 個人レベルQOL:生活を営んでいくための能力を対象にしている。(食事、整容、更衣な ど)
・ 社会レベルQOL:“人生の質”は住居、家庭生活、家族関係、職業の内容、収入と支出などを対象としている。
主観的QOL
 実存レベルのQOL:自尊心が満たされているか、自分の人生観に合った社会活動や生き方がなされているかなど、個々人の主観的な価値観を評価尺度にした側面である。


ADLに関する職種の役割





 
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