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      重症心身障害児のリハビリについて







 重症心身障害児に対する理学療法の実際




●症例1.呼吸管理が必要な重障児
 6歳女児.四肢麻痺,てんかん,精神運動発達遅滞,慢性肺疾患(Wilson-Mikity症候群).大島の分類1.在胎23週6日,580gで出生.アプガースコア1/5→4/5.生後よりNICUのある病院に入院しており,生後34日間人工呼吸器管理を行い,4歳時気管切開術施行.現在まで気管切開部から酸素療法(2ℓ/分)を行っている.5歳時に重症心身障害児病棟に入所する.筋緊張は全身的に亢進.姿勢は頚部後屈が強く,肩甲骨挙上・外転位,上肢は肩関節伸展・内転・内旋位が強く,胸郭は樽状変形が認められる.脊柱は頚椎から腰椎まで過度に前弯しており,骨盤前傾が強く,下肢は両股関節屈曲・内転・内旋位,膝関節屈曲位をとり,姿勢は安定しない.全身的に可動性が低く,随意運動はみられない.緊張により全身的に伸展が強まり啼泣していることが多く,生活リズムも崩れやすい.呼吸は浅い胸式呼吸で喘鳴がある.食事に関しては鼻腔からの経管栄養で行っている.












●症例2.高度な身体変形・拘縮をもつ重障児
 18歳男性.2歳のときの溺水による低酸素性脳症後遺症の四肢麻痺,てんかん,精神発達遅滞.大島の分類1.
 嚥下障害があり経管栄養を行っている.呼吸は,下顎の後退,舌根沈下がみられ,原因不明の無呼吸を起こすことがある.痰が常に多くあるが,自力での排痰は可能.ただし,姿勢により呼吸状態が変化しやすく血中酸素濃度の低下が起きる.
 脊柱右凸側弯,両下肢は腰椎の凸側と対側に股・膝関節屈曲位にて左側に倒れている(風になびく股関節)(図23).X線検査では,股関節脱臼はないが骨粗鬆症がある.MRI検査では,大脳,脳幹部含め,全体的な萎縮が認められている.自発運動は少なく,全身の屈曲を強める動きがみられる.聴覚の反応は表情の変化などみられるが,視覚の反応は不明瞭である.痛覚に対する反応も鈍い.現在,養護学校高等部を卒業し,生活の中心は家庭と週に1~2回の療育施設への通園となっている.
 主治医より,脊柱・胸郭変形に伴い閉塞性呼吸障害で呼吸状態の急変が予測されることの説明を受けており,姿勢保持の目的としては,安静,活動・移動時に呼吸状態を悪化させないことがあげられた.姿勢の選定では,嚥下障害もあることから,腹臥位をまず選び家庭や通園での安静時の姿勢とした.また,活動や移動のため座位を選んだが,呼吸の問題,変形を考慮し,採型を行いトータルフィットでのサポートを行った.座位は体幹後傾位としたが,頭部・体幹のアライメントから頭部の位置を決定し,ヘッドレストの形状による頚部・下顎のコントロールを行い,良好な呼吸状態が保てるよう,三次元でのコントロールが簡単に操作できる頭部継ぎ手を選択し,作製した.

















障害児(者)への支援

  障害児・者に対する支援の根拠となる法制度は、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法が主要なものであり、各々専門的な相談・判定機関は児童相談所、更生相談所となっている。法制度とサービスを、適用年齢別にまとめる。

<在宅リハに必要な保険・福祉サービス>(図3‐17)

1)支援費制度 
障害児・者福祉に関する行政の動向としては、利用者主体、できる限りの地域での生活とその支援、すなわち地域生活支援が打ち出された。その大きな柱の1つが支援費制度で、2003年4月に発足した。行政がサービスの利用者を特定し、サービス内容を決定する「措置制度」から、利用者が自らサービスを選択し利用する、権利としての福祉への流れの顕在化である。
 支援費制度の対象となるサービスとして、施設サービスと居宅サービスがある。施設サービスは、地域で暮らすために必要な訓練や自立と社会経済活動への参加に向けた訓練などの支援を行う。居宅サービスは、デイサービスやショートステイの利用など、自宅で暮らすために必要な支援を行う。




2)手帳の交付
 福祉医療の給付、補装具や日常生活用具の給付、交通機関の運賃割引など、サービスを受けるには、多くの場合手帳の提示が必要である。
①身体障害者手帳
 身体に障害のある方の日常生活を支援するための制度を利用するには、基本的に身体障害者手帳が必要である。本人(15歳未満の場合、その保護者)の申請に基づいて、目や耳、手足などに永続する障害がある方に交付される。

②療育手帳
 知的障害児・者の保護および自立更生の援助を図るため、本人または保護者等の申請に基づき、児童相談所または知的障害者更生相談所で交付される。
 障害の程度:重度 A (おおむねIQ35以下)
       中度 B1 (おおむねIQ50以下)
       軽度 B2 (おおむねIQ70以下)

<小児の在宅リハビリテーション>

 小児在宅リハの目標は障害児の社会的自立にあり、どのようなハンディキャップを持っていようと、子どもの全人的な発達を促すということである。乳幼児期から医学的リハと並行して、社会性を得させるための行動能力を身に付ける社会的リハの実践が大切である。

1)訪問看護、訪問リハおよびヘルパーの活用
  訪問看護ステーションの活動内容は、①療養上の世話、②医師の支持の下に行う診療の補助、③リハ、④家族支援、⑤精神的支援、⑥社会生活拡大の支援、⑦ケア(サービス)チームとの連携・調整からなる。
  重症児のケースでは訪問リハよりも訪問看護を優先させることが多い。例えば、訪問看護は昼食をはさんだ時間帯を選び、摂食指導や生活指導が主となる。
  支援費制度がスタートしたことによって、在宅療育の子どもたち(身体障害児、知的障害児、重複障害児など)は、通院、外出(余暇活動)にもヘルパーを手軽に利用できるようになり、在宅リハの社会環境は徐々に改善しつつある。

2)スポーツ療法、遊び
 障害児も正常児同様にスポーツを介して運動機能や行動能力を高めることができる。スポーツ療法は、姿勢反応、感覚-運動パターンの学習、集中力の向上に効果的である。特に、加速度運動や立ち直り反応、静的バランス反応に関与する前庭機能が強化される。





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