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      筋ジストロフィーのリハビリについて




 筋ジストロフィーのリハビリテーション



(4)ステージ別の理学療法


U.車いす期(stage4-7)

 歩行不能となれば、移動手段としてまず車いすが用いられる。和式の生活では這う、膝行するなどの移動方法も用いられる。この時期には車いすに座っていることが多くなる。そのため股関節・膝関節屈曲、足関節内反尖足、および肘関節屈曲・前腕回内・手関節掌屈位をとる時間が長くなり、これらの運動方向に拘縮をおこしやすい。さらに手指屈筋も短縮してくる。
 立位では、腰椎が前彎して椎間関節がしまりの位置(close-packed position)になり、また脊柱起立筋を使用するため側彎がおこりにくいが、座位では腰椎が後彎し椎間関節がゆるみの位置(loose-packed position)になるため側彎がおこりやすい。基本動作である四つ這い、ずり這い、寝返り、車いす操作も徐々に制限されてくるが、可能な間はそれらの動作を実施することで、筋力と関節可動域、動作能力の維持をはかる。セルフケアが不可能となった段階では、介助しやすいように、また靭帯損傷、脱臼、骨折などの事故を予防するために、主に関節可動域の維持を目的として治療を行う。


※ この時期にやっておくこと

1.立位・歩行用装具

a)膝固定式長下肢装具
 機構的に股・膝関節伸展位での歩行となり、立脚期に体幹の側屈で重心移動が行われる。下肢の拘縮・変形が強いと適応が難しく、手術的矯正後に装着されることが多い。

b)徳大式ばね付き長下肢装具
 膝屈曲制動と踵補高によるアライメントの調整および膝前面のばねによる膝伸展力の補助を特徴とし、残存する膝屈筋、足底屈筋、体幹筋を活用して歩行を再獲得させる。
 適応:@起立動作不能、A物につかまり起立、B歩行距離5m以下、C転倒の危険性増加、D手の介助、伝い歩きなど不安定な歩行、E起立位での肢位の左右差増悪あるいはバランス不良、が適応とされる。
 装具の限界は、@筋力:股関節屈曲2+、伸展2−、膝関節屈曲3、伸展2、足背屈3、足底屈4.5、A拘縮:股関節伸展−30°、膝関節伸展−20°、足関節背屈−20°までで、体幹が安定し、バランスがよいこととされる。
 装着訓練:訓練開始当初は体幹装具が追加されることもある。アキレス腱延長術後では、足関節を底屈位に固定したまま介助で立位・移動のバランス訓練を行う。通常2〜3週間で独立歩行に至るが、以後毎日6〜8時間装着させ、朝夕15分ずつ歩行を行う。施設内移動は装具歩行を原則とし、起立車か車いすを併用する。下肢の伸張運動を励行するが、風邪や外泊などに伴う訓練中断により容易に歩行不能になるので注意する。




図22 膝固定式長下肢装具の例
a:siegelの筒状長下肢装具
b:鈴木らの軽量長下肢装具         
c:松屋らのリングロック膝長下肢装具





図23 徳大式ばね付き長下肢装具



c)東埼玉式起立用装具
 下肢の変形が強い例でも良好なアライメントで起立可能で、さらに拘縮・変形の進行にも対応し得る。



図24 東埼玉式起立用装具



表21 主なDuchenne型筋ジストロフィー用長下肢装具の特徴





2.車いす

 DMDの車いす(座位保持)では、大きく5つの観点が重要と思われる。@脊柱変形の予防、A座位の安定性、B座位の安楽性、CADLや机上動作を阻害しないこと、D介護のしやすさ、である。重力に対して不安定な座位姿勢は、筋力の低下したDMDにとって筋性の支持は難しく、靭帯性や骨性の支持が得られるところまでアライメントを崩していく。そして、崩れた姿勢が固定化するなかで変形が助長され悪循環が形成される。座位の安定性を得るためにはしっかりした支点を作ることである。基本的には骨盤まわりの安定が重要であり、骨盤の前・後傾、左右の傾き、回旋をコントロールすることが重要である。座位の安楽性とは、長時間座っていても痛みや痺れの苦痛がないことであり、支持性と除圧性を備えた座クッションの選択が大きなポイントとなる。




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