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      筋ジストロフィーのリハビリについて




 筋ジストロフィーのリハビリテーション



(6)リスク管理

1.過用
 筋線維の破壊による筋力低下が生じているため、同年齢の健常者と同じ運動や動作を実施しても疲労程度は大きくなる。それが積み重なると過用に陥り筋の不可逆性変化を生じる。筋の過用は筋力低下だけでなくoverwork症候群を引き起こす(表28)。具体的な疲労の徴候を表29に示す。疲労の判断はあくまで他覚的所見によるべきである。
 過用の予防には 、まず1日の総運動量を把握する。入院患者の場合には、理学療法と作業療法の時間帯や運動回数・移動距離などの設定、休憩を入れるタイミングを考慮する。病棟との関係では入浴日に注意する。在宅患者、特に児童の場合は様々な行事において本人が張り切る場合が多い。そのため運動会などの運動能力を競わせる種目にハンディキャップを与える、遠足で長距離を歩かせずに車椅子に乗せるなど、疲労しないように配慮する。疲労は、動作の実用性が乏しくなり動作遂行に時間と努力を要する時期(ステージ3‐6)に多くみられる。


表28 Overwork症候群



表29 疲労の徴候



2.過伸張
 筋力低下が進行すると、侵害刺激に対する防御的収縮が十分に起こらず、外力に抗して運動を止めることができなくなる。筋が外力により生理的な限界以上の長さに伸張されると損傷が生じる。さらに修復のための安静期間に廃用性の筋力低下を生じる。伸張運動を実施する際には、目的筋の緊張状態、患者の表情などに注意し、過伸張を予防する。また、全介助で移乗する際などに四肢を周辺の機器などに引っ掛けて過伸張となる場合がある。動線を考えて必要な空間を確保してから実施する。

3.転倒
 歩行後期の患者では、バランス能力の低下、足関節可動域制限(内反尖足)による支持面積の減少に成長による重心の上昇と体重増加が加わり、転倒による骨折や捻挫、打撲、過伸張を生じる危険性が高くなる。一度転倒すると、歩行に恐怖心を覚え歩行を嫌がることが多くなるために、日々の運動量減少、歩行能力の更なる低下が生じる。動作の安定性・安全性を見極めたうえで適切な介助法の判断が必要である。また、転倒による損傷の予防には頭部保護帽やサポーターの着用を考慮する。



表30 主な筋ジストロフィー症の病型とその特徴







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