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筋ジストロフィーのリハビリテーション
8.摂食・嚥下機能評価
DMDでは10歳代半ばより口腔期の異常が存在し、さらに20歳ごろより咽頭残留などの咽頭期障害の出現がみられる。
口腔・咽頭の通過障害は固形物のほうが強く、咽頭残留は液体のほうが多くみられる。口腔・咽頭移送時間は年齢とともに遅延し、舌骨の前上方への運動時間は年齢とともに短縮する。
また、上肢・体幹筋力低下により摂食動作反復による疲労が必発である。慢性進行性のため患者は必ずしも疲労を自覚していないが、食事の後半に頻脈や体動が目立つときは疲れているサインと判断する。
(@)準備期:捕食において、閉口筋と開口筋の機能の不均衡によりしばしば開口障害と開咬を認める。咀嚼と食塊形成においては、咬合不全がある。また、巨舌や筋力低下のため明らかな舌の可動域制限がみられる。歯列は、前後径が小さく左右径がやや大きく、相対的に側方に広がり、そのため舌の左右運動量が多くなり咀嚼効率が低下する。
(A)口腔期:巨舌と舌の可動域制限のため、奥舌への移送や咽頭への送り込み運動中に口腔内を食塊が行きつ戻りつする。
(B)咽頭期:咽頭筋力低下による咽頭移送障害と舌骨挙上不全があり、食道入口を食塊が一度に通過しないことが少なくない。結果として食塊の口腔への逆流が少なからず認められる。
(C)食道期:食道の移送障害は少ないといわれているが、進行期に胃食道逆流がみられることがある。
図18 嚥下運動のモデル
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