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      筋ジストロフィーのリハビリについて



筋強直性ジストロフィー(myotonic dystrophy:MyD)




 筋強直(ミオトニー現象:myotonia)とは筋肉が一度収縮した後に弛緩しにくいことをいう。例えば、患者に手をしっかりと握り速やかに手を開くように命じても、手は急には開かずゆっくりとしか指が伸びない(把握性筋強直::grip myotonia)。診察時に母指球筋を打腱器で叩くと、母指は内転し、すぐにはまっすぐにならない(percussion myotonia)。このような筋強直を主症状とする疾患にはいくつかの種類があるが、最も代表的な疾患が筋強直性ジストロフィーである。

<病因・病態>
 本症は常染色体優性遺伝をとり、第19染色体長腕(19q13)に遺伝子座がある。遺伝子はクローニングされており、その遺伝子産物は新しく見つかった酵素でミオトニンキナーゼ(myotonin kinase)(蛋白を燐酸化し活性化させる酵素)と命名された。この酵素が病気の発症にどのように関与しているかはまだよく分かっていない。
 患者ではこの遺伝子の3側非翻訳領域にあるCTG(シトシン、チミン、グアニンの塩基)の繰り返し配列が増加している。正常な人ではこのCTGの繰り返し配列は5‐30回であるが、患者では50-2000 回にも達する。この繰り返しの数と臨床症状は相関するといわれている。また親より子ども、子どもより孫へと世代を経るに従ってこの繰り返しの数が増加し、症状は重くなる傾向にある。このことを表現促進(anticipation)という。筋肉を顕微鏡でみると筋ジストロフィーのような壊死とそれに続く再生所見はほとんどない。筋線維は細くなり、特にタイプT線維が萎縮する。

<臨床症状>
 筋強直現象は筋力低下に先立ってみられることが多いといわれている。手がこわばってなかなかスムースに開かない、口の開閉も話しはじめに滑らかでない、歩行開始が円滑にいかないなどが主症状である。
 筋強直現象は同一動作を繰り返すと次第に軽減し、また精神的緊張、寒冷によって増悪する。筋力低下があきらかになる年齢は一定していないが、普通子どもではあまり目立たない。顔面筋は高頻度に侵され、表情に乏しく、頬がこけたような顔になる(筋性顔貌:myopathic face)。時に眼瞼下垂も生じる。頸筋、咽頭筋が侵され、鼻声や嚥下障害を来すこともある。
 筋症状以外にも様々な症状を合併する。前頭部優位の脱毛が成人男性の80%、白内障は高頻度にみられるため、定期的な眼科の診察が必要である。内分泌系の異常(インポテンス、無月経、不妊など)、心筋症、便秘などの消化器の異常をみることもある。




図41 MyDの手内筋優位による手指変形




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