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肢帯型筋ジストロフィー(limb-girdle muscular dystrophy:LGMD)
<病因・病態>
LGMDは体幹筋や四肢近位筋、すなわち腰帯筋と肩甲帯筋の筋力低下と筋萎縮を主症状とする疾患群を指す。ちなみに、DMDならびにBMDも臨床的には「肢帯型」といえるが、LGMDには含めない。すなわち臨床像が「肢帯型」でも伴性劣性遺伝のものは除き、常染色体遺伝性のもののみをLGMDとしている。
LGMDが単一の疾患ではないことは昔から知られており、原因のはっきりしない筋ジストロフィーのwaste basket的な診断名ともいわれてきた。しかし最近の分子遺伝学・生理学の進歩に伴い、その原因が次々と明らかにされてきた。(表31)
表31 LGMDの原因別分類
<臨床症状>
優性遺伝をとるものはきわめてまれで、ここでは常染色体劣性遺伝について述べる。
発症年齢は小児期から50歳代以降までと幅がある。病気の種類が多いので症状もいろいろあるということは理解できる。筋力低下のような臨床症状はなく、検査上血清クレアチンキナーゼ(CK)値が高いだけという人もいる。一方DMDと変わらないような重症経過をとるものもいるが、全体から見ると病気はDMDより軽く進行も遅い。
また、近位筋(腰帯筋)が好んで侵され、顔面筋罹患はない。最初に気付かれる症状は歩行異常に関するものであり、走れない、転びやすい、階段昇降困難などである。立ち上がるときに努力が必要となり、しばしばGowers徴候をみる。下肢の仮性肥大はないかあっても軽度である。関節拘縮は下肢にみられ、早期から尖足をみるものもある。歩行不能となると、全身の関節が拘縮するようになるのはDMDと同じである。ただし、心合併は少なく呼吸不全も少ないので、生命的予後はよいとされている。
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