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      筋ジストロフィーのリハビリについて


 エメリ・ドレフュス(Emery-dreifuss)型筋ジストロフィー(EDMD)


<病因・病態>
 X連鎖劣性遺伝と常染色体優性遺伝がある。日本ではX連鎖劣性遺伝の方の報告が多いようである。X連鎖劣性遺伝ではX染色体長腕(Xq28)に遺伝子座があり、その遺伝子産物はエメリン(emerin)という蛋白である。その蛋白は細胞の中の核の膜(核膜)に局在することが明らかにされている。常染色体優性遺伝では遺伝子座は第1染色体長腕(1q21)にあり、ラミン(lamin)A/Cという核膜の蛋白の遺伝子に異変がある。

<臨床症状>
 EDMDは幼小児期に発症する筋ジストロフィーの一つであり、その臨床的な症状として@早期よりみられる後頸部、肘部、アキレス腱周辺の関節拘縮、A肩甲・上腕・下腿を中心とする筋萎縮・筋力低下、B除脈や心ブロックなどの心電図異常、があげられる。通常、神経・筋疾患での関節拘縮は筋力低下の進行とほぼ一致して観察されるが、本症では上記@とAのうち、筋力低下は軽度であるにも関わらず早期から拘縮がみられるのが特徴的である。また、頸部や脊柱の前屈制限(rigid spine)も認められることから、強直性脊椎症候群(rigid spine syndrome:RSS)との類症鑑別が重要である。Bの心症状は本症のほぼ全ての患者で成人前後に発症するが、なかでも頻繁にみられる心伝導障害(PR間隔の延長や除脈)は重症例では完全房室ブロックを来し突然死の原因となるので、ペースメーカーの植え込みが必要となることがある。さらに、これらの患者は心室腔の拡張と心筋収縮障害を主徴とする拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy,DCM)を高頻度に発症し難治性心不全を来す場合もあることから、心症状のフォローアップは生命予後の観点から特に重要である。







肢帯型筋ジストロフィー(limb-girdle muscular dystrophy:LGMD)

<病因・病態>
LGMDは体幹筋や四肢近位筋、すなわち腰帯筋と肩甲帯筋の筋力低下と筋萎縮を主症状とする疾患群を指す。ちなみに、DMDならびにBMDも臨床的には「肢帯型」といえるが、LGMDには含めない。すなわち臨床像が「肢帯型」でも伴性劣性遺伝のものは除き、常染色体遺伝性のもののみをLGMDとしている。LGMDが単一の疾患ではないことは昔から知られており、原因のはっきりしない筋ジストロフィーのwaste basket的な診断名ともいわれてきた。しかし最近の分子遺伝学・生理学の進歩に伴い、その原因が次々と明らかにされてきた。(表31)

表31 LGMDの原因別分類


















<臨床症状>
優性遺伝をとるものはきわめてまれで、ここでは常染色体劣性遺伝について述べる。
発症年齢は小児期から50歳代以降までと幅がある。病気の種類が多いので症状もいろいろあるということは理解できる。筋力低下のような臨床症状はなく、検査上血清クレアチンキナーゼ(CK)値が高いだけという人もいる。一方DMDと変わらないような重症経過をとるものもいるが、全体から見ると病気はDMDより軽く進行も遅い。
また、近位筋(腰帯筋)が好んで侵され、顔面筋罹患はない。最初に気付かれる症状は歩行異常に関するものであり、走れない、転びやすい、階段昇降困難などである。立ち上がるときに努力が必要となり、しばしばGowers徴候をみる。下肢の仮性肥大はないかあっても軽度である。関節拘縮は下肢にみられ、早期から尖足をみるものもある。歩行不能となると、全身の関節が拘縮するようになるのはDMDと同じである。ただし、心合併は少なく呼吸不全も少ないので、生命的予後はよいとされている。




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